著者：左川ちか , 編者：島田龍 , 装画：タダジュン , 装幀：名久井直子 / 発行：書肆侃侃房 / 四六判（188mm×128mm×25mm）/ 416P / ハードカバー/ 2022年 4月発行

海外での評価が先行し、国内では幻の詩人として長く神話化されてきた詩人・左川ちか。本書は、萩原朔太郎や西脇順三郎らに激賞された現代詩の先駆者、左川ちかの全貌を明らかにした初の全集。すべての詩・散文・書簡、翻訳を収録し、編者･島田龍による充実の年譜・解題・解説を付した大充実の一冊です。

＊左川ちか（さがわ・ちか）
詩人・翻訳家。本名川崎愛。1911年生まれ。北海道余市町出身、十勝地方の本別町で幼少期を過ごす。庁立小樽高等女学校卒業後に上京。10代で翻訳家としてデビュー。J・ジョイス、V・ウルフ、ミナ・ロイなど、詩・小説・評論の翻訳を残す。1930年に筆名を「左川ちか」と改め詩壇に登場する。同郷の伊藤整を始め、北園克衛・春山行夫・西脇順三郎・萩原朔太郎らに高く評価、詩誌『詩と詩論』『椎の木』『マダム・ブランシュ』などで活躍した。将来を嘱望されたが1936年に死去。享年24。J・ジョイス著／左川ちか訳『室楽』（椎の木社、1932年）、遺稿詩集『左川ちか詩集』（伊藤整編・昭森社、1936年）。本書は初の全集となる。

＊島田龍（しまだ・りゅう）
東京都中野区出身。立命館大学文学研究科日本史専修博士後期課程単位取得退学。現・立命館大学人文科学研究所研究員。専門は中世～近現代における日本文化史・文学史。関連論考に「左川ちか研究史論—附左川ちか関連文献目録増補版」（『立命館大学人文科学研究所紀要』115号）、「左川ちか翻訳考：1930年代における詩人の翻訳と創作のあいだ—伊藤整、H・クロスビー、J・ジョイス、V・ウルフ、H・リード、ミナ・ロイを中心に」（『立命館文学』677号）など。