街の灯 ~マッチの火の向こうに、消えてしまった街や人々のゆらめき~
¥3,800
文:佐伯 誠 , 写真:松本 祥孝 , デザイン:上島 洋 / 発行:街の灯プロジェクト / A5判(210mm×150mm) / 144P / 2026年 6月発行
植草甚一さんが亡くなったとき、その厖大なレコードコレクションの中の一枚を手に入れた。
植草さんと親しかった友人が、これ持っておくといいよと渡してくれた。
Charles Mingus Presents Charles Mingus
ていねいに描いてくれた絵とサインの入った著書も、持ってる。
J・Jのおかげで、老いることが怖くなくなった。
街で暮らして、散歩と本と雑学とジャズを愛して、アートよりもガラクタが好きで、自由でいることだけは、ゆずらない。
そうか、ジャズを手放さないって、死ぬまで、子供っぽく、ぶらぶら、ファンキーに生きることだ。
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最初にあったのは街だ。
それからジャズだ。
そして自由が歩いてきた。
──(中扉より)
日本独自の文化とも言われる、ジャズを聴くためだけの喫茶店「ジャズ喫茶」。
タバコを燻らせながらコーヒーを啜り、大音量に身を任せる。
横浜にある、現存する最古のジャズ喫茶〈ちぐさ〉には、常連客が全国のジャズ喫茶を巡って蒐集したマッチが寄贈され、当時を物語る貴重な品として保管されている。
ひょんなことから一時そのマッチたちを預かることになった写真家の松本祥孝。
コロナ下、松本から送られてくる1枚の写真に、文筆家の佐伯誠がテキストを添え、ちぐさスタッフでもあった上島が紙面にする。そんなやりとりが2年半以上続き、それらはやがて108の断片となった。
読むものがなかったら、思い出せばいい。
聴くものがなかったら、口笛を吹けばいい。
ジャズは、猫の音楽だ。
呼んでも来ない、好きなようにしていて、服従することもしない。
世界は、波止場のようなもので、誰もが一度は、ドラを鳴らして出て行く船を見送ったことがある。
街にジャズがあった、タバコの煙が立ちのぼっていた、みんな黙ってうずくまっていた。
そんな日々のクロニクルだ。
──(あとがきより)
本書は、横浜の伝説的なジャズ喫茶「ちぐさ」に預けられた、常連客が全国から集めたマッチの写真とストーリーを収録した、胸に響く108のフォトドキュメント。
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*佐伯 誠 (さえき・まこと)
文筆家、東京育ち。
ANA機内誌『翼の王国』、エスクァイア日本版、パパスブックなどで活躍。
讃嘆と哀感、知性あふれる美しい文章で、多くの人を魅了した。
よくプロフィールをと言われて、ちょっと困る。とりたててキャリアらしいものがないし、どうしようかと思う。そんな時に、思い出すのはkeep a low profileというコトバで、目立たないように生きるというニュアンスだろうか。本書でもこう書いているように、押しつけず、ひけらかさず、誰とでもフラットに接した。そんな佐伯さんの生き方が表れていると思う文章を、本書の未使用原稿の中から紹介したい。
*松本 祥孝 (まつもと・よしたか)
写真家、横須賀育ち。
横浜関内にてmatsumoto coffee roasters 主宰。
コーヒー焙煎と白黒暗室の奇妙な関係を探索中。
2015年頃、「ジャズ喫茶ちぐさ」を復活させたメンバーと知り合い、ちぐさ運営に携わる。横浜の老舗ジャズ喫茶として、気にしながらも敷居の高いちぐさに、いままでずっと近寄らなかったことを後悔する。マッチを擦る瞬間の快感ってなんだろう?っていまさらながらに思ってしまう。

























