生活は物語である 雑誌『クウネル』を振り返る
¥2,200
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著者:木村衣有子 , 挿画:京野 誠(6jumbopins), デザイン:篠田綾香 / 発行:BOOKNERD / 四六変型判(188mm × 114mm) / 162P / ソフトカバー(ペーパーバック) / 2025年 5月1日初版発行 , 2025年6月2日 第2刷発行
上京して半年も経 たない2002年春、クウネルの表紙には大きく「ここから始まる私の生活。」との文言が記されていた。それよりも小さく、誌名の上にちょこんと配置されており、以後、76号までずうっと掲げられるキャッチフレーズ「ストーリーのあるモノと暮らし」よりも、そのときの私には、響いた。
「都市における革新性に対して再発見されたローカルにおける保守性の新しさ」と、ツバメ田中さ んは口早に言い「宛先がわからない雑誌だったからこそ、僕のような本来手に取らないはずの存在にまで届いたんですよね」と続けた。それから少しだけ間を置いて、こう言い直した。「僕にとって初期クウネルは、年代、世代、性別を越えた空き地に突如として現れた小さくて感じのいい家のようだったんです」
── (本文より)
レシピ本。住居。生活。食。モノとの距離。スローライフ。ていねいなくらし。家事。フェミニズム。ジェンダー。読んでいた人たちの、生き方の変遷。そして時代は平成から令和へと移り変わる。「そういえばananやオリーブは総括されたけれど、クウネルはされていないよね。いつかクウネルを総括する本を書きたい」文筆家・木村衣有子がひとつの時代の分水嶺を、雑誌『クウネル』とともに総括する。文化論のようでいて、極私的な手触りの、ファンタジーと現実を行き来するクウネルと雑誌文化への濃厚なオマージュ。
*木村衣有子(きむら・ゆうこ)
文筆家。主な守備範囲は食文化、書評、東北。
1975 年北関東生まれ。1994 年から2001 年まで京都在住、2002 年より東京の主に東側に住みつつ、東北に通い続けて今に至る。 主な近 書に『 BOOKSのんべえ』(文藝春秋 2023) 、『家庭料理の窓』(平凡社 2022) 、『味見したい本』 (ちくま文庫オリジナル 2018)などがある。はるあきクラブ主 宰。