チャリング・クロス街 84番地 増補版
¥902
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編著者:ヘレーン・ハンフ , 訳者:江藤淳 / 出版社:中央公論新社(中公文庫) / 文庫判(148mm×105mm ) / 248P / ソフトカバー / 2021年 4月発行
僕が、書店を舞台とした、いわゆる「本屋の本」の中で最初に手にしたのは、リン・ティルマンの『ブックストア—ニューヨークで最も愛された書店』や、ジェレミー・マーサーの『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』でもなく、日本リーダーズダイジェスト版の『チャリング・クロス街84番地—本を愛する人のための本』であった。
本書は、大戦後間もない1949年、ニューヨークに住む本好きの女性脚本家が、本を求めてロンドンの古書店にあてた一通の手紙から始まった20年にもわたる心温まる交流が描かれた往復書簡集。当時のニューヨークとイギリスの世相の違いが垣間見えるのも興味深いし、何よりもお互いに顔の見えない古書店主と顧客との関係性は(良し悪しもあるだろうが)こうありたいと思わせる。書物へ捧げる深い愛は、他ならぬ相手のことを思いやる愛情でもあった。
後日譚を描いたエッセイ「その後」を収録した、嬉しい増補版。ぜひ お読みいただきたい一冊です。