西崎憲 短篇集『本の幽霊』
¥1,650
SOLD OUT
著者:西崎憲 , 装丁:大島依提亜 , 装画作品:桃山鈴子 / 出版社:ナナロク社 / B6変型判(175mm×115mm×18mm)/ 124P / ハードカバー / 2022年 9月発行
電子書籍で生まれた「1篇」が、奇妙で美しい「本」になりました。多岐にわたる活動で知られる作家・西崎憲の本にまつわる短篇集。古い洋書に直接、虫などの絵を描き入れた装画は、電子書籍から本に生まれ変わる際に生じたバグ(不具合、虫)のようにも見えます。全面に箔押しが施され、見返しや別丁にも工夫のある美しい一冊です。
●収録作
本の幽霊/あかるい冬の窓/ふゆのほん/
砂嘴の上の図書館/縦むすびのほどきかた/三田さん
全6篇
●刊行の経緯/電子書籍から紙の本へ(あとがきより補足・抜粋)
「「ふゆのほん」はまず電子書籍で刊行された。それが今回紙の本に転移したわけであるが、物語が電子と紙を往還することにはすこし心躍るところがある。(ほかの5篇は)紙への移行の過程で自然に生まれてきた。本が登場するものが多いので本に関する本ということになるかもしれない。」
●本と孤独について(あとがきより)
「しかし作者や編集者とちがって本は孤独ではない。本を手にする読者も孤独であるが、ひとり本だけはつねに孤独ではない。本はいつも流れのなかにある。本とはどこかからどこかへ向かうものであり、向かう場所があるということは孤独ではないのだ。」
*西崎憲(にしざき・けん)
作家、翻訳家、編集者、音楽家、出版レーベルの主催と多岐にわたり活躍。文学ムック『たべるのがおそい』(書肆侃侃房)では編集長をつとめ、掲載作の今村夏子「あひる」が芥川賞にノミネートされるなど話題となる。著書に『世界の果ての庭』(創元SF文庫、日本ファンタジーノベル大賞受賞)、『未知の鳥類がやってくるまで』(筑摩書房)、『ヘディングはおもに頭で』(KADOKAWA)など。訳書に『郵便局と蛇 A・E・コッパード短篇集』(ちくま文庫)、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』(亜紀書房)、ほか多数。フラワーしげる名義で歌集『世界学校』(短歌研究社)などを刊行。