アーのようなカー|寺井奈緒美(著者サイン本)
¥1,870
なら 手数料無料の 翌月払いでOK
著者:寺井奈緒美 / 発行:書肆侃侃房 /四六判(188mm×128mm)/ 144P / ソフトカバー / 2019年 4月初版発行
改札を通るときだけ鳴く鳥をだれもが一羽手懐けている
柴犬の尻尾くるんの真ん中の穴から見える極楽浄土
耳と耳あわせ孤独を聴くように深夜のバスの窓にもたれて
路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける
なくなれば美しくなる でもぼくは電線越しの空が好きです
──(収録歌より)
habotan名義で土人形作家としても活動中の寺井奈緒美による歌集。
日常の片隅にある忘れられた事物をそっと掬うような、ささやかで滑稽で、どことなく寂しい歌が並ぶ。それは今の時代を生きるぼくたちの忙しない日々において、誰もが見過ごしてしまいがちなことにスポットライトをあててくれる行為だ。
こんな歌があるから、未来はほんのりと明るい──。
*寺井奈緒美(てらい・なおみ)
1985年ホノルル生まれ。愛知育ち、東京在住。趣味は粘土で縁起のよい人形をつくること。
2019年4月、新鋭短歌シリーズ『アーのようなカー』( 書肆侃侃房)刊行。
2023年4月、短歌とエッセイ『生活フォーエバー』(ELVIS PRESS)刊行。